苦く甘い恋をする。
“ちょっと! いい加減、やめてよ!!”


胸をいくらドンドン叩いても、長谷川くんは私を抱きしめたまま放さず、ここは会社だというのに、たっぷりと……


長く深いキスをした。


……あり得ないんですけど!! 何考えてるの? この男!!


目を見開いたままキスを受け、呆れる私をようやく放したかと思ったら……。


「こんなに濃い口紅は必要ねぇだろ。
おまえの愛想笑いに群がるバカな男には」


手で唇についた口紅を拭いながら、長谷川くんはニヤリと笑いながら目を細めた。


「その点、俺は。おまえの愛想笑いに頼らなきゃいけないほど、ぬるい仕事はしてねぇけどな」
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