苦く甘い恋をする。
何か言い返そうとしたけど、いい言葉を思いつかなかった私は、せめてもの意思表示のために、唇をぶーっと突き出した。


こいつには、可愛いと思ってもらわなくても結構!!


男の前で嘗てしたことのなかった変な顔をわざとすると、長谷川くんは笑いとはとれない位少しだけ口端を上げ、私の頬を軽く掴んだ。


「風邪引かれると、俺が怨まれるからな」


「……あったり前じゃん。あんたのせい以外の何ものでもないし」


掴まれた頬を物ともせず、語尾を強める。


すると……。


「ヤベェ位、勝気」


そんな言葉と共に、私の体にふわりと巻きつく腕が降ってきた。
< 181 / 388 >

この作品をシェア

pagetop