苦く甘い恋をする。
「な……何するの?」


驚く私の声があたりを包んだ時、チンという軽い音が響き、ドアがスーッと開いた。


「なんだろうな。それを今から確かめる」


私の背中を押す大きな手。


「長谷川くん?」


チラリと斜め後ろ、長谷川くんの顔を見上げると、そこにあったのは、泣き出しそうなくらい弱々しい困った顔。


そんなのは、私の知ってる長谷川くんじゃない。


少なからず驚いて、私の足は止まった。
< 182 / 388 >

この作品をシェア

pagetop