苦く甘い恋をする。
長谷川くんの上着を、後ろからガッと掴む。


「例えば……ソレ」


長谷川くんは、ゆっくりと振り返り、私に微笑を落とした。


「いつもは愛想笑い100%なのに、俺には素を見せるところ」


「……は……はぁ?」


慌てて上着から手を離し、その手を胸の前でギュッと握った。


「そ……そんなの。あ……アンタの前だけとか……。
か……勘違いだし。
も……。ホント……止めて? 
な……な……何様!?」


否定はしたけど、本当は、その通りだった。
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