苦く甘い恋をする。
会議室の入り口で立ち止る私を一瞥し、長谷川くんはボタンを押した。


「だから言ったろ? 確かめたくなったって」


「だから何を!?」


声を荒げた私の耳に、会議室中のブラインドが一気に下りる音が聞こえる。


「あーもー!! 何なの!?」


全く理解できない状況に、苛立ちが募る。


私は、その苛立ちを隠すことなく、髪を乱暴にくしゃくしゃっと撫でた。


「もーいい。好きにして!!」
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