テノヒラノネツ
「祐樹君。抱っこしてよ、祐樹君にあやかって、ねえ? 翔ちゃんも将来プロ野球選手になっちゃうかあ? んー?」
「えーほんと、自慢しちゃうわ」

ばあばと新米ママの攻撃に、古賀がNOといえるはずもなく、古賀は千華の甥っ子を抱っこする。
その様子を1歩離れて見ていた千華は、気の毒に……と思った。
玄関から父親と兄が帰宅してきたらしく、声と足音が聞える。
夕飯の買出しに出かけていた。
駐車場が多い、ここからわりと距離のあるスーパーのビニール袋をたくさん下げていて足元は運んできたビールケースをはじめとするアルコール類。
そして、千華の父親――――じいじの片手にはお約束の初孫への玩具……。

「お、祐樹君。ひさしぶりだなあ? 元気か?」
「お邪魔してます」
「お、祐樹、俺の子可愛いだろ?」

兄は兄で嬉しそうな顔で笑いかける。
千華はいそいそと兄と父が買出した食品を冷蔵庫にしまい込む。
母親は 千華にあれこれと指示を出す。
そして古賀に話しかける。

「よかったら、祐樹君。家で夕飯食べて行きなさいよ」

赤ん坊をじいじに渡す。
「そうだ、そうだ、飲んでけ、飲んでけ」
じいじは孫をあやしながら云う。

「御迷惑じゃ……」

古賀がそういうと、千華を除く家族全員が是非にとせがむ。
「なんだよー昔は一緒にオレとカレー食ったじゃんよー」
「そーよ、たいしたものはないけど、鍋だし、人数多い方がこういうのは美味しいのよ」「いろいろ聞かせてくれよ」
家族の様子と古賀の様子を見て、千華は無意識に呟いていた。



「食べていけば?」
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