悪女の恋〜偽りの結婚〜
 俺はそんな遥の頭を両手で持ち、顔を上に向かせて言った。


「その前に話を聞かせろよ」と。


「え?」


「『いい事考えた』って言ってただろ?」


「ああ……。話は後にしない? あたし、もう……」


 遥は潤んだ目で俺を誘うが、俺はそんな気分になれなかった。それよりも、遥が何を思い付いたのか、そっちの方がいくらかだが興味があった。


「いいや、今聞きたい」


「わかった、じゃあ言うわね。我ながらグッドアイデアなんだから……」


 そう言って、遥はニヤリと笑った。悪巧みをする、悪女のように……


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