仕事上手(?)で恋愛下手(!)
昔、大学生の頃にインスタントシニア実習
なるものがあって、アイマスクや重り、耳栓
なんかしながら街の中を歩いたことがあったけど
そんなものとは全く違っていた。

私は不安になるほど全く
何も見えなかった。
手で探ろうにも、その両手の自由さえも
今は奪われている。

「花菜。
ジェラード食べていた途中だったよね。
食べさせてあげようか。」

っと言って微かにスプーンだろうなと
思う金属音なんかが聞こえた。

ソファの軋み方なんかもあって、
先生が私の近くに来たのはすぐに分かった。

「ひゃっ。」

頬に冷たい感覚があって思わず
声を出してしまった。

「ごめん。ちゃんと口に運ぼうと
思ったんだけど失敗しちゃった。」

っと頬のジェラードを口で取ってくれた。

以前に屋上で軽く頬にキスされたのとは
全く違って、背筋がぞくぞくしてしまった。
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