仕事上手(?)で恋愛下手(!)
消防士や救命士、レスキューなんかが含まれるいわゆる
『消防署の仕事』は、一般的な仕事よりも断然に
死が身近にある職業だ。


(だから、『大変なお仕事ですね。』
なんて言いたくないんだよなぁ。)

私たちが救急車でさ運ばれてきた患者さんを
退院まで導くことができるのは、

高羽さんたち消防署の職員の方の努力もあってのことなんだと
彼の後姿を見ながらしみじみ思った。

そしてこっそり彼の背中に向かって呟いた。

(いつも、ありがとう)


「皆、助けられるわけじゃないからね。
もっと、助けられればいいんだけど…。」

そんな呟きが聞こえたか、聞こえなかったかは
分からなかったけど高羽さんが不意にそんなことを言った。


(なんて仕事に正面から向き合う人なんだろう。
もっと話をしてみたいな…。)

何て事を考えていると、私たちの前方から誰かが手を
振っているのが見えた。

「あ。奈南だ。」


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