仕事上手(?)で恋愛下手(!)
白衣の中に自分がいた。
庇ってくれたのは大和先生だった。
湯呑みが飛んできた時、強い力で引っ張られて、
大和先生が私を庇うように胸の中に入れてくれていたのだ。

湯呑みは大和先生の腕に当たって、落ちて割れた。

大和先生は湯呑みが当たった痛みに顔を顰めながらも、

「花菜。よく声我慢して頑張ったな。」

っと小声で言って優しく笑ってくれた。

辺りを見回すと柏木の姿がないことが気になったけど、
そんなことを気にしている余裕なんてなかった。

湯呑みが割れた音が響いたことで、相川さん(夫)は少し
冷静になれたのか項垂れて、相川さんが直してくれた
椅子に座った。

「ねぇ。お願いだから。お酒やめよう。」

相川さんは旦那様の服の袖を掴みながら泣き崩れた。

「今さらやめられねぇんだよ。」

椅子に座ったまま下を向いて、吐き捨てるように呟いた。

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