【短編】message
美奈は出かけるときも泣きやまなかった。

あたしはそんな美奈を無視して靴を履く。

「しょうがない子ね。真美も美奈も。」

「お姉ちゃ・・・。っく。」

「ほら、お姉ちゃんも許してくれるから。学校行こうね。」

母が困った顔であたしに視線を送る。
あたしはそっぽを向いて言い放った。

「知らない。」

少しは反省したらいいんだわ。

「いってきます。」

玄関を出て歩き出すと、さらに大きな泣き声が聞こえた。

一瞬、振り返ると顔をくしゃくしゃにして泣き、母にランドセルをかつがされている美奈が目に入った。

許さない。

それが、あの子を見た最後だった。

放課後、美奈は学校から帰らなかった。

どこかで遊んでいるのだろうと母もあまり心配しない。
美奈はよく寄り道をして遊んでいたから。

日が暮れ始めても戻らない美奈をさすがに母も心配しだした。

「真美、いつもみたいに探しにいってちょうだい。」

「いやよ。美奈なんか知らない。」

あたしはムキになっていた。
ほんの些細なことなのに、どうしても素直になれなかった。

「いつまでも怒ってないで許してあげなさいよ。まだ小さいんだから。」

母は美奈を探しに出かけたとき、一本の電話がなった。

「浅井美奈さんのお宅ですか?」
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