【短編】message
「犯人を殺してやりたいって何度も思ったわ。でも、それ以上に自分を消してしまいたかった。あたしが美奈を殺したようなものだから。どうやってあの子に許してもらえばいいのかわからない」
僕は真美の手を握っていた。
「それは違うよ。君は悪くない。それに・・・君は優しい子だ」
虚ろな真美の目に力がこもる。
「あなたに何がわかるの?マスコミに追われて、近所で噂されて・・・。犯人は病院送り。美奈は帰ってこない!あれは事故みたいなものだから仕方ない、お前のせいじゃないって言われるたびに、自分を責めておかしくなりそうだった」
彼女にかけてやれる言葉が見つからなかった。
妹を奪われた彼女の気持ちなど、僕には計り知れない。
「あたしがいつもみたいにあの子を探してたら、美奈は今もあたしの横で笑っていたのよ!」
真美は僕の手を振りほどいて席を立った。
「美奈はあたしを恨んでいるに決まってる!」
違う・・・。少なくとも美奈は真美を恨んではいない。
美奈からはそんな恐ろしいものを感じなかった。
ただのあどけない小学生と話しているだけで。
「信じないかもしれないけど。美奈ちゃんは、君に見せたいものがあるって言ってるんだ」
彼女は美しい顔を歪ませて僕に乞う。
「ごめんね、今日はもうこれくらいにして。少し気分が悪い」
彼女は自分を責めていた。
自分を責めることで立ち直ろうともがいているのだ。
どこか僕に似ている気がした。
あの入学試験の日、彼女が貸してくれた消しゴムを実は僕はまだ持っている。
片側は削れて丸くなっているけれど、反対側はボコボコにいびつな形をしたままの消しゴム。
試験中にそのことに気づいた僕は、試験官の目を盗んで彼女のほうをみた。
僕と同じように片側だけぼこぼこした消しゴムを使っていた。
引きちぎって僕に渡してくれたのだろう。
彼女はそういう子だ。
僕にできることがようやくわかった気がした。
僕は真美の手を握っていた。
「それは違うよ。君は悪くない。それに・・・君は優しい子だ」
虚ろな真美の目に力がこもる。
「あなたに何がわかるの?マスコミに追われて、近所で噂されて・・・。犯人は病院送り。美奈は帰ってこない!あれは事故みたいなものだから仕方ない、お前のせいじゃないって言われるたびに、自分を責めておかしくなりそうだった」
彼女にかけてやれる言葉が見つからなかった。
妹を奪われた彼女の気持ちなど、僕には計り知れない。
「あたしがいつもみたいにあの子を探してたら、美奈は今もあたしの横で笑っていたのよ!」
真美は僕の手を振りほどいて席を立った。
「美奈はあたしを恨んでいるに決まってる!」
違う・・・。少なくとも美奈は真美を恨んではいない。
美奈からはそんな恐ろしいものを感じなかった。
ただのあどけない小学生と話しているだけで。
「信じないかもしれないけど。美奈ちゃんは、君に見せたいものがあるって言ってるんだ」
彼女は美しい顔を歪ませて僕に乞う。
「ごめんね、今日はもうこれくらいにして。少し気分が悪い」
彼女は自分を責めていた。
自分を責めることで立ち直ろうともがいているのだ。
どこか僕に似ている気がした。
あの入学試験の日、彼女が貸してくれた消しゴムを実は僕はまだ持っている。
片側は削れて丸くなっているけれど、反対側はボコボコにいびつな形をしたままの消しゴム。
試験中にそのことに気づいた僕は、試験官の目を盗んで彼女のほうをみた。
僕と同じように片側だけぼこぼこした消しゴムを使っていた。
引きちぎって僕に渡してくれたのだろう。
彼女はそういう子だ。
僕にできることがようやくわかった気がした。