【短編】message
シャベルで大方掘り起こした後は、手ですくう様に土を払った。

5分くらいの間、僕は黙々と土を撫で続けた。

「・・・あった」

そこには見る影もなく薄黒く色褪せた四角いモノがあった。

朝顔はすがりつくように小さな根をランドセルへ伸ばし、ツルを支える添え木はしっかりとランドセルに突き刺されていた。

「祐介ぇーーーーーー!」

「あった!!!あったぞ!!!」

両手を挙げて、子どもみたいに僕は飛び跳ねた。

よく見ると、ランドセルはあちこち刺されたような傷がたくさんあって、所々ちぎれている。

僕らは、朝顔を植えなおしてやると、泥まみれのランドセルをビニール袋へいれた。

「まさか本当に見つかるなんて!お前すごいなぁ」

「オレの力じゃないさ。美奈が教えてくれた気がしてさ」

本当にそうだった。

僕は一度ここに導かれていたんだ。

きっと美奈の意志によって。

「うちでシャワー浴びたら、美奈のとこにこれを持って行こう」

「あぁ、美奈ちゃん、成仏できるといいなぁ」

元気をなくしたように見えた朝顔は、日差しを浴びて少しずつ息を吹き返していた。
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