【短編】message
犬を連れたおじさんが、ジョウロで水を与えている。

僕は飛び起きて駆け寄った。

「おはようございます!それっておじさんが植えたんすか?」

おじさんは僕の存在に驚いた様子で、面食らっていた。

「こんなところに咲いてるのが不思議で気になっていたんです」

まだ少し、僕を訝しそうに見ていたが、ようやく口を開いた。

「あ・・・ああ。これはわたしが植えたんじゃないよ。添え木はさしてやったけど」

「じゃあ、誰が?勝手に咲いたんすか?」

「何年か前からだね。コイツと散歩してるときに芽が出てるのを見つけてね。こんなところじゃ花も咲かないから、愛着わいてねぇ。だからこうして時々水をやりに来ているんだ」

淡い青紫の花びらが僕の方を向いて優しく笑っている。

「そうなんですか。ありがとうございます」

おじさんが立ち去るのを見送って、僕はシャベルを握った。

ここだ・・・。


僕にはわかった。

ここに眠っている。


朝顔が傷つかないようにの周りを少しずつ掘り出した。


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