【短編】message
「これを・・・。見てください。」

ボロボロのランドセルを彼女に見えるように取り出した。
彼女の瞳が大きく開いた。

「これは・・・何?」

「ランドセルだよ。」

「まさか美奈のものだとでも言うの?」

僕は黙って、浅井美奈と書かれたノートを取り出す。

彼女は口元を押さえて、涙をこらえていた。

「見つけてくれたのね?でも、どうやって?」

「美奈ちゃんと話したから。嘘じゃない。美奈ちゃんは・・・君に謝りたかったんだ。」

「そんなの!!わかるはずない!」

「ランドセルに大事なものが入ってるって。お姉ちゃんに見せるんだって。そう言ってた。」

「大事なものって?この中にあるの?」

僕は首を横に振る。

「ここにはないんだよ。だから、僕と一緒に来て欲しいんだ。」

真美はしばらく黙って考えていた。

僕にはその時間が途方もなく長く感じた。

「半信半疑なの。」

彼女はか細く言った。

「半分、信じてくれればいい。」

僕は伝票と真美の手をとった。

「半分で十分だよ。」
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