同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~
新人作家
「中山さん、ちょっと来て」


 私は編集長の筒井女史から呼ばれて席を立った。


「はい、何でしょう?」


 私が前に立つと、筒井女史はパサっと一冊の雑誌を私の目の前に置き、前髪を鬱陶しそうに掻き揚げた。


 筒井女史はアラフォーの独身で、小さいながらもこの出版社を切り盛りするやり手の編集者で、私ははっきり言って憧れている。


 同じ働く女性として春姉にも憧れはあるけど、私は春姉みたいにビューティフルなワーキングガールになれるとは到底思えない。なれるとしたら、既にオンナを捨てたみたいな、仕事一筋っぽいこの筒井女史のようなポジションだろう。


 なんて、筒井女史には失礼かもしれないけど。


< 28 / 200 >

この作品をシェア

pagetop