野辺の送り
 彼女は、やわらぎの中で眠っていた。

 私は彼女の安らいだ顔を、いつものようにただ眺めていた。

 彼女の安らいだ顔というよりも、彼女の全身から醸し出される甘いやさしさが小さな部屋の空気を満たしていた。

ゆったりとした、満ち足りた空気。

 私は彼女の病室に立ち寄るたびに、ここが病院だということを忘れることがある。

 病院だということを忘れるということは、私自身も自分の仕事を忘れて、彼女のそばにいるということか。

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