恋する手のひら
私たちに気付いた秀平は罰の悪そうな顔をする。

やっぱり、さっき転倒したときに足を痛めてたんだ。
秀平の性格上、隠していたということは相当痛みがあるに違いない。

「なんだよその足、めちゃくちゃ腫れてんじゃん」

タケルは溜め息混じりに言う。

秀平も、こんなところを見られれば言い訳しようがないと観念したようだった。

「佐々ちゃんに伝えてくる。
後半は試合に出るなよ、キャプテン命令だからな」

タケルはそう言い残して顧問の佐々本先生の元へ向かった。

二人きりになって少し迷ったものの、私は決心して秀平の横に腰を下ろす。

「…足見せて」

「大したことないよ」

秀平が背を向けようとするから、私は無理矢理足を持ち上げた。

「痛っ…!」

途端に彼は顔をしかめる。

全く、強がりなんだから。
こんなに腫らしたままよく試合できたな、なんて思わず感心してしまう。
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