恋する手のひら
「おっ。
あいつ、上手くなってんじゃん」

試合開始早々に速攻でシュートを決めたタケルを見て、サトシくんが隣の席で声を上げた。

サトシくんも実はバスケの経験者。
県大会でＭＶＰに選ばれたって、タケルが自慢してたのを覚えてる。
残念ながら高校までで止めてしまったけど。

「にしても張り切ってんな。
あいつ、いつもこんな立ち上がりなの？」

だいたいこんな感じかも、って私が答えると、サトシくんは笑った。

タケルはいつも誰よりもテンションが高い。
常にボールに触れていたい、根っからのバスケ好き。
それがひしひしと伝わってくるのがタケルのプレイスタイル。

「でも、今日は特別かな。
高校生最後の夏だし、何より念願のインターハイだし。
もしかしたらK大に進学できるかもしれないんだって言ってたから」

この大会で結果を残すことができれば、Ｋ大の推薦がもらえるかもしれないと聞いたのはつい最近。

推薦枠は一つで、自分か秀平になる、とタケルは教えてくれた。
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