春待つ花のように
 母親のことを知りたがるのはもうやめたほうがいいのかもしれない。

 きっと自分が知りたそうな顔をしているから、ゼクスが大怪我をし、カインも危険な目に合わせてしまうのだ。

 母親のことはもう忘れて、新しい国づくりについて頭を切り替えよう。

 ロマたちに自分たちのことが知られてしまっているのなら、宮殿内ももちろんのこと、街中を歩くことさえも大変になってくるはずだ。

 少しでも早く、この国で生活している人々の苦労を取り除ければ・・・。

「いつまでも甘えてはいられない」

 ノアルの決意ある言葉にマリナは寂しそうな顔で微笑んだ。彼の言葉は、まるで彼女を遠ざけるような気にさせるような表現だった。

「マリナ、新しい国を作ろう。ロマたちの横暴は許してはいけないんだ」

「そうね。でもこの少人数で何が出来るというの?」

 積極的に考えようとしているノアルに、消極的なマリナ。せっかくレイから逃れて二人が再会できたのだ。

 国を出て、誰も自分たちのことを知らない土地で幸せに暮らしたい。それを願ってはいけないのだろうか。
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