春待つ花のように
「今の生活は不満か?」

「え?」

 ノアルから初めて質問されたマリナは嬉しくなる。いつも聞き役に徹している彼。

 お茶を飲みながら、適当なところで相づちを打ち、適当な返答しかしてくれない。話は聞いてくれているが、あまり興味を示してはくれなかった。

「不満だらけよ。話し出したら止まらないわ…でも、その不満を解消出来ないでいる自分が一番不満」

 マリナはがっくりと肩を落とす。この今の生活から抜け出せない自分が嫌。

 両親のことや国の政治を考えると、無力な自分になってしまう。強い力には反抗出来ずに従ってしまう自分が情けない。

「マリナ…」

 ノアルに呼ばれて、マリナは顔を上げる。すると目の前にノアルの顔が近づいてきた。

 マリナが目を閉じるとすぐに、唇が温かくなる。ノアルが自分にキスをしてくれている。

 温かくて優しいキス。唇と唇が触れただけだが、とても幸せな気持ちになった。

「ノアル」

 唇が離れると、マリナはノアルの顔を見つめた。

「少しは今の生活に期待が持てた?」

 顔と顔を近づけたまま、ノアルは悪戯な笑みで口を開く。
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