春待つ花のように
「本当に理解してくれたのだろうか」

 不安に思うノアル。何か勘違いをされているような気がする。さらに過保護に扱われそうな思いに駆られるのは自分だけだろうか。

 しかし、とりあえずこの場からゼクスが居なくなったのだ。これでいいことにしよう。

 あのまま泣かれながら傍に居られては仕事にならない。ゼクスが居ないうちにさっさと作業を終わらせてしまえばいいのだ。

 ふと、2階を見上げるノアル。2階にはマリナの部屋がある。

 今は何をして過ごしているのだろうか。読書中、食事中、それともお茶でもいれているのだろうか。

 彼女のことは考えてはいけない。ノアルは頭を振った。

 自分にはローラがいる。今日は早めに帰って店の手伝いをしようと決めているのだ。

 マリナの部屋から目を離そうとすると、窓に人影があるのがわかった。

「マリナ…」

 窓越しに目が合う2人。会っていない期間などそんなになかったはず。しかしノアルはとても久しぶりに彼女の顔を見たような気がした。
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