春待つ花のように
 マリナも何度となく助けてもらった。

 テーラはレティアに何を言われても動じることなく、毅然とした態度で接していた。勇気のある女性だとマリナは尊敬した。

 しかし2年前にレティアに殺されたとレイから聞いた。表には病死ということにしてあるが、レティアが嫉妬に駆られて殺してしまったと。

 その訃報はレイの別荘で聞いた。

 アンビータの国に来てから2年後、今から3年前にはレイに見初められて婚約者としてこの別荘にきた。

 テーラが亡くなった時は城にはおらず、彼女の弔いさえも出来なかった。あの時は何も出来ない自分が悔しかった。

 あんなに善くしてもらったのに、婚約者という立場になっても何の力もない自分が情けなかった。

 アンビータに行けば幸せな生活を送ることが出来る。そう父親に言われて来たのに、全然幸せになれない。

 確かに父のいる国は攻められることなく安泰なのかもしれない。しかしマリア個人とすれば拷問のような毎日だ。

 とくにやることもなく、衣食住も勝手に決められる生活。レイに婚約者になれと言われたときは確かに嬉しかった。

 奴隷のような生活から抜けられる。そう思えたからだ。しかしレイもレティアの息子。

 奴隷扱いはかわらない。むしろ城にいたときのほうが同じ境遇の話し相手がいて良かったかもしれない。
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