初恋の実らせ方
彩はとりあえず例題を解き始める。


啓吾は分からなかったら聞けよ、と言ってベッドに腰を下ろすと読書を始めてしまった。


これ以上啓吾に呆れられたくないのに、少し経つとすぐに彩はつっかかってしまう。
どうしても計算が合わない。


彩の手の動きが止まったのに気付いて啓吾は本から顔を上げた。


「どこ?」


彩は手に持ったノートを見せながら言う。


「因数分解…」


啓吾はちょっと貸して、とつぶやきながら彩のノートとシャープペンを取り上げる。


彩の計算式を眺めた後、そのノートの隅にすらすらと公式を羅列する。


「彩、公式がごっちゃになってる。
こういう場合はこっちを使うんだよ」


啓吾の字で公式が書かれたノートが手渡された。
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