初恋の実らせ方
「どしたの?
珍しく早起きじゃん」


英知が、朝から彩と会えた嬉しさを隠し切れず、目を輝かせて駆け寄ってくる。
その様子が小型犬みたいでかわいいのは内緒。


「俺のこと待ってたとか?」


「そんなわけないでしょ」


彩は笑いながら首を振る。


少し期待して聞いたのに、即座に否定されてしまうと、英知としては面白くない。


「兄貴待ってんの?」


そう聞くと、照れながら頷いた彩に、英知はイライラしてくる。


啓吾は彩と同じ学校で、同じ部活に入っているから彩と一緒にいられる時間が英知よりも長いのに。
その上、登校時間まで奪われてしまってはたまらない。


「ダメだよ。
俺が彩と一緒に行くの」


彩の手を掴み、強引に引こうとした時、英知は何かで頭を殴られた。
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