初恋の実らせ方
「啓吾っ…?」


慌てる彩を尻目に、啓吾は唇を移行させる。


頬に二度ほど触れ、次に彩の唇を奪おうとしたとき、彩はそれをつい拒んでしまった。


「―――嫌?」


啓吾が不思議そうに聞いたので、彩は大きく首を振る。


「私、したことなくて…」


恋愛初心者なんだもん。
もちろんキスの経験もない。


「ふぅん、初キスね。
教えてやるよ」


啓吾はニッと笑って、彩の耳元に手を添える。


彩が緊張で固まってるのがわかり、啓吾はできる限り優しい声を出す。


「優しくするって」


「や、やっぱり無理」


彩は啓吾を押しやる。


「大丈夫、俺上手いから」


「そんなこと言われたら、余計緊張しちゃう…」


上手い、という言葉に彩の心臓はさらに騒ぎ出す。


昨日から何度も額や頬へのキスを繰り返す啓吾に、少し免疫がついてきたとはいえ、唇となると別問題だ。
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