LOST OF THE WORLD
Prologue
寒い。



マフラーとコートを2重に羽織ってまでも、冷気が肌を震わせた。

ふぅっと息を吐くと、ぼわっと白い煙があがる。

昨日は随分と過ごしやすい天気だったのに、一夜空けたこの寒暖の差は何だ。


ぶるるっと身震いして、ユキは鍵穴に鋼のかたまりを差し込む。そのまま右方へゆっくり捻ると、ガチャリという機械的な感触が音とともに左手へ伝わってきた。
きっと今頃、奥の方で鉄の塊と塊が、ここぞとばかしに綺麗な形で収まりあっているに違いない。
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