猫のワルツ
「…嘘」

「こんな場面で嘘言えるほど器用じゃねぇよ!!」

「知ってます~」


菜都美は龍史にギューッと抱き付く。


「タマ、これからは菜都美って呼ぶから俺は龍史って呼んで?」



菜都美がタマと呼ばれたのは、これが最後だった。

菜都美の片思い、そして猫だった期間は半年。


そして、彼女になって二日目。



「亮先輩、龍史知らない?」

「あれ、さっきまでそこにいたのに…」

「今日の昼ご飯おごってくれるって言ったのに逃げられた!!」

「ほんとに、似た者同士」


亮はそう言って、お腹を抱えて笑う。


「亮先輩?」

「俺からしたら二人とも猫だったよ」

「え?」

「猫がジャレ合ってる風にしか見えなかったから…ほら、あっち」


亮は菜都美の後ろを指差して、菜都美はそっちを見た。
そこには龍史がいて、菜都美がかけよる。

そんな光景を見ながら、亮はとても微笑ましい気持ちになっていた。




女は一途に男を愛した。

男は、女を可愛いペットにしか思ってなかった。



猫は

とても気紛れだ。








【終わり】
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