O君へ・・・配達されない手紙
第6信
O君
これまで共通の知り合いの
Kちゃんのことを書いてきましたが
そろそろ君のことを
書かせてもらおうかと

正直言うと
君との縁は
とっくに切れていたよね
君のことはすっかり忘れていた
君から電話がなければ・・・

よっぽどのことだったんだね
君はいろいろ事情を話してくれたけど
僕にはどうでもよかった
僕には理解力が無いんだよ
聞いたことは右から左

何も覚えていないし
覚えようとも思わないし
君の事情には
関心なかった
結局君の用はお金のことだった

君が何故かは知らないが
困っていることだけは
理解できた
かといって
僕にも余裕ない

出来る範囲で
都合すると返事して
振り込み手続きをする
電話を切ったあとにも
君は確認の電話をまた掛けてくる

なんの足しにもならないほどの
わずかな金なのに
そこまでするかと思ったよ
よほどせっぱつまった事情が
あるのだろうと思った

ある期間を置いて
そんなことが何回もあった
電話では小説や
音楽のことなども話した
長々と話すことが多かった

お金に困っているのに
君はケイタイからの電話
通話料が大丈夫か心配だった
いつも心配しながら話してた
それを聞くと君は大丈夫だと言った

その辺のところの事情も
よく分からなかったけど
君から電話があれば
またお金話だろうと思いながら
他の話をよくしたよね

君が小説を書いているということだったから
作品を送ってくれと言った
君はインターネットしてないというから
ブログつくってそこで発表するよ
誰かが読んでくれると・・・ね

でも君はその約束を守ったことがない
作品はどうした?と聞くと
気に入らないから破ったとか言ったね
どうも信用できなかった
作品を書いているのかも信用できないと思った

音楽のことでは
君はけっこうレゲェというのかな
そのジャンルのなかでもコアーな
ミュージシャンが好きだと
けっこう語ってたよな

それを書きな・・・と
すすめもしたライナーノーツってのかな
そんなものが書けるじゃないかって
その約束の君は果たしてないよ
だから君の信用はゼロさ


次ページへつづく
< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop