揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦

chapter24

家に着いたのは、午後1時を少し過ぎた頃。

何だかモヤモヤした気持ちのままでの…帰宅だった。


別に、修学旅行自体に未練がある訳じゃない。

ただ、篠原さんの事や雅志の事、由佳の事を考えると…溜息ばかりが出てしまう。







「疲れたでしょ?コーヒーでも飲む?」


俺がリビングのソファに腰を下ろすと、まどかさんはキッチンへと足を向けた。


「いいよ。まどかさんこそ、朝早くから来てくれて疲れたんじゃないの?」


「大翔の為だもん、大丈夫よ。それにしても、散々な修学旅行になっちゃったわね」


コーヒーメーカーをセットし、カップを用意しながら彼女はそう言った。

背中ぐらいまである綺麗に巻かれた茶色の髪が、彼女が動く度に艶めかしく揺れている。


「さっきも言ったけど、あの子とつき合ってあげなさいよ?」


「……責任は感じるけど、つき合うとかって別の問題だよね?」


確かにまどかさんの言うように、篠原さんの彼氏のフリをするのがいいのかもしれない。


だけど、俺には由佳がいるから。

由佳と別れて篠原さんとつき合うだなんて、全く考えられない。


「彼女とつき合えないっていう事は…やっぱり、由佳さんの事が好きなの?」


「……あの人は、関係ないよ」


鋭い問い掛けに一瞬眉をひそめそうになりつつも、平然を装って答える。

彼女からの窺うような視線が、何だかやけに痛い。
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