揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そう?関係ないの?なら良かった」


わざとらしくほっとしたような顔を見せ、彼女がゆっくりとこっちへと戻ってくる。


その姿に…何だか胸騒ぎを感じずにはいられなかった。

嫌な予感が胸を支配し、どうにも落ちつかない。


「この間、由佳さんについ言っちゃったのよ。私と大翔の関係を」


「……!?」


突然の事に、俺は何も言葉が出てこなかった。

ただただ、目を見開いてまどかさんを見上げることしかできない。


「バッタリ会ったから、彼女とお茶したのよ。それで、話しをしてるうちにポロっと言っちゃったの。『私と大翔は男と女の関係なんだ』って」


「何でそんな事言うんだよ!?」


思わず、立ち上がっていた。

そのまま、まどかさんにつかみかかる勢いで歩み寄る。


「いわゆる恋バナってやつ?秘密の関係だけど、誰かに聞いてもらいたいじゃない?由佳さんなら、知らない仲じゃないんだし」


「なっ…、どこまで話したんだよっ!?彼女はっ?何て言ってた!?」


全身から血の気が引いていくのが分かった。

身体の痛みなんて感じないぐらいに、不安に包まれていた。


由佳に、俺とまどかさんの関係がバレた……?


嘘であって欲しかった。

この事だけは、由佳に知られたくはなかったんだ。


「何を怒ってんのよ?彼女は関係ないんでしょ?だったら、別に知られたっていいじゃない」


「言えよっ!彼女に何て言ったんだよ!?」


自然と、まどかさんの両腕をがっしりとつかんでいた。

左手首の痛みすら分からないぐらいに、俺の気持ちは高ぶっている。
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