揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
次第に元カレの表情が険しくなっていくのが、見ていてよく分かった。

眉を寄せて強張った表情を浮かべ、ゆっくりと口を開く。


「それって脅迫なんじゃないの?由佳と別れないと、親父さんを左遷させるって。由佳は?知ってるの?その事」


「由佳は…知らないから。でも、明日別れ話をしようと思って」


俺の言葉に、彼は軽く溜息を吐き。

口元に手を当てて何やら考えているようだった。


夏服の彼は、カッターシャツの袖からほどほどに筋肉の付いた腕が伸びていて。

自然と自分の未発達な体と比べてしまっていた。


由佳をすっぽりと包んでしまう体と腕。

そして、心を優しく包む大人の包容力。


この人になら…由佳を任せられる。


「それで、君は本当にいいの?」


真っ直ぐに向けられる彼の眼差し。

俺の心の奥にまで問いかけてくるような、そんな少し茶色がかった双眸。


それは、由佳への未練がたっぷり残る俺の心に…大きく突き刺さってくる。


「それが…最善策だから」


精一杯の俺の強がり。


それでいい訳ないに決まってんじゃん。

由佳と別れたくないし、他の奴にだって取られたくなんかない。


だけど。


じゃあ、どうすればいいんだよ……?
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