揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ホント、君って小学生らしくないね。でも悔しいけど、そういうトコが由佳は好きなんだろうな」


呆れたように言いつつ、彼は優しい笑顔へと表情を変えていた。

でも決して俺を馬鹿にしてるんじゃないっていうのは、ちゃんと伝わってくる。


「……どうも」


何だか照れくさくなってくる。


「由佳が素直に戻ってくるとは思えないから、俺は親友として見守っていくよ。君がいつか戻ってきた時に、また君の所へ戻れるようにさ」


気休めなのか、そうは言ってくれてるけど。

本当にいつか俺が戻って来た時に、由佳は俺の所に来てくれるんだろうか?


「とりあえず、由佳には今日の事黙っておいて下さい。俺が母としてる約束の事も、あなたに由佳を頼んだ事も」


もう一度彼の方を向き直し、頭を深く下げる。


「分かったよ、君が悩んで出した答えなんだって事は。誰にも言わないって約束する。もちろん、由佳にも」


そう言って、俺の両腕に手を掛け。

頭を上げるようにと促してくれた。


「最後にもう一つ、お願いがあるんですけど……」


彼の好意に甘え過ぎてると思いつつ、俺はそう申し出た。


明日、由佳ときちんと別れる為に……。
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