揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「私、お手洗い行ってくるから。先に中入ってて」


通路を挟んで反対側にある案内板を見つけ、まどかさんはひらひらと手を振って行ってしまい。

とりあえず、邪魔だと思いながらもカートごと店内に足を踏み入れた。


その時だった。


え……?


一瞬、幻覚を見ているのかという思いが頭を過ぎった。

会いたいが故に、自分自身が見せてしまった幻覚なのかと。


俺の視線の先には。

一番会いたくて、でも今日は一番会いたくなかった人の姿がある。


「由佳……」


無意識に、そう名を呼んでいた。

だけどその呟きは小さすぎて、音楽の掛っている店内では簡単にかき消される。


それに…今の彼女には、きっと届かない。


「モカフラぺチーノのトールでお待ちのお客様。お待たせ致しました」


驚いたのは、由佳の姿を見つけたからだけじゃない。

彼女がスタバの店員になっていたからだ。


商品を受け渡すコーナーで。

制服に身を包んだ彼女が、少しぎこちない笑顔で客に商品を渡している。


こんなトコでバイトしてるなんて、俺聞いてないけど……。


困惑と苛立ちの入り混じった気持ちに、俺自身戸惑っていた。
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