冬うらら 1.5

「あのね…これ……」

 差し出されたので、反射的にカイトは受け取ってしまった。

 見覚えのあるものだった。


 こ。

 ん。

 い。


 こんい…… ―― 婚姻届ーーっっ???


 まさしく、昨日提出したばかりの用紙だ。

 中に書いてある文字も、全部見覚えがあった。

 何故、こんなものが、いまここにあるのか。

 何故、メイが持っているのか。

 何故????


 メイが、どうしたらいいのか分からない戸惑ったままの唇で言った。

「あ、あの…それ……記入不備で…受理されてなかったの」


 カッチン!


 カイトの時が。


 凍った。
< 22 / 102 >

この作品をシェア

pagetop