冬うらら 1.5

「……」

 しかし、カイトはためらうような態度を見せた。

 用紙を渡しかけたのだが、その動きを止めてしまったのだ。

 え?

 メイは、指先が一瞬冷たくなった。

 まさか―― な、態度だったのである。

 まさか、その用紙を再提出するということに、カイトは何か思うところがあるのだろうか。

 後悔してしまったの?

 そんな言葉が、冷たくなった指先から、爪の間から入り込んでくる。

 カイトは。

 彼は、最初ゆっくりと動いた。

「来い…」

 腕を捕まれた。
 引っ張られる。

 一体―― どこに連れて行こうと言うのか。
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