冬うらら 1.5

 おかえりなさいを、まず言って。

 それからそれから……それから?

 メイは、その先のことを思いつけなかった。

 そうなのだ。

 彼が家に帰ってくるというシチュエーションは、いままでに何度もあった。

 しかし、結婚した相手として帰ってくるのは、これが初めてなのである。

 どういう風に、振る舞えばいいのだろうか。

 バカね。

 メイは、自分にそう言った。

 普通に、いままで通りでいいのだ。

 おかえりなさいの後は、前みたいに食事の案内をすればいいのである。

 後のことも、全部普通通りでいいではないか。

 ただ。

 寝る部屋だけが、やっぱり同じというだけで。

 バカバカー!!!

 また、自分の考えが暴走しそうになって、慌てて急ブレーキをかける。

 そうして、現実でも急ブレーキをかけなければならなかった。

 そう。

 玄関に到着してしまったのだから。

 どきどき。

 ドアの前で、メイは胸を高鳴らせた。

 これが開いたら。

 そう思うまでもなく。

 ガチャ。

 ドアが。

 開いた。

「おかえりなさい」


 嬉しさが―― そのまま笑顔になった。
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