愛かわらずな毎日が。
「お見合い?福元さんが!?なんで?どういうことっ?」
更衣室に響き渡る香織の声。
幸い、私たち以外の女子社員の姿はない。
鈴木さんの電話を受けてしまったせいでモヤモヤとした気持ちのまま終業時間を迎えた私。
この複雑すぎる感情を、自分ではどうすることもできなくなって、香織に泣きついてしまったのだ。
「だって、……言ってたんだよ。……ぐすっ。
鈴木の、オッサンが」
私はその場にペタンと座り込み香織を見上げた。
「………誰よ。鈴木のオッサンって」
「知らないオッサン」
思い出しただけで目の奥がじわじわと熱くなる。
福元さんがお見合いだなんて。
私、そんなの聞いてないし。
聞かされたって、困るだけだけど。
困るだけじゃなくて。
そんなの、いや。
絶対、いや。
「だから様子がおかしかったのね。福元さんから電話が掛かってこなかったこと、ずっと拗ねてるものだと思ってたけど」
帰りの身支度を終えた香織がベージュのワンピースの裾を気にすることなく私の前にしゃがみこんだ。
「…………どう、しよう」
俯いてそう呟いた私の頭を優しく撫でながら、香織が小さなため息を吐いた。
「どうしよう、って。確かめたらいいじゃない。本人に、直接」
「…………だって、」
「だって?」
香織は私の頭を撫でていた手を床につけ、俯いたままの私の顔を覗き込んできた。
「だって。……福元さん、まだ、……戻ってきてないし。忙しいところに、……そういうの、
……メールとか、できないし」