愛かわらずな毎日が。

「ときどきは、『呼吸してます』って。口にするべきなのかな」

何度も唇を重ねたその後で、福元さんが私の髪を撫でながら静かに言った。


「え……?」


「愛を不安にさせてるなら、そうならないように想いを口にするべきなのかな、って」

真っ直ぐに向けられた福元さんの目は、まばたきするのも惜しいと思うほど魅力的なものだった。

だからまた、私の胸はきゅんと音を立てる。


「できれば。……ちゃんと、口にしてくれると、……助かる、……かも」


「そっか。うん、わかった。そうする」


「………お願い、します」


胸を熱くさせた私の瞼にそっとあてられた唇。


閉じた目の奥が熱かった。

ジンジンと痺れるように熱かった。



『呼吸って。息するのってさ、四六時中、無意識のうちに繰り返してるだろう?仕事してるときも。寝てるときも』


『一緒なんだ。いつだって想ってる、ってことだよ』


『俺はいつだって、愛のことを想ってる』


福元さんの言葉を思い出して、胸が熱くなる。


きっと。

呼吸を止めるのと同じで。

福元さんへの想いを止めてしまったら、酸素を欲しがるように求めてしまうのだろう。


笑顔、優しさ、手のぬくもり、唇の感触。

福元さんの、ぜんぶを。


福元さんが想いを口にしてくれたときは、その想いを深く吸い込んで、私の中にある福元さんへの想いを吐き出そう。


これからも、ずっと。


福元さんの隣で呼吸する日々が。

福元さんの腕の中で呼吸する日々が。


ふたりで深呼吸する日々が。


ずっと。

ずっと、続きますように。








【END】

< 176 / 320 >

この作品をシェア

pagetop