愛かわらずな毎日が。

「あれ、間宮さんじゃない?」


「え?どこ?」


「あ。違った」


「なんだよ、」


そんな会話が聞こえてきて、思わず足を止めた。


「あれは、………」


ダイニングバーの大型個室から抜け出した俺が目にしたのは、店の入口付近にいる女の子たちに視線を送る二人の男。

同じ営業部に籍を置く、増田と池谷。

どちらも俺の一年後輩だ。


……っていうか。


『間宮さん』って言ってたよな?

それって、あの。


福元の。


愛ちゃんの、こと……?


いや、違う。


いや。

違う、ではなく。

間違いであってほしい。


なんて。



3月も終わりに近づいたある日のこと。

俺は、福元の代わりになぜか胸をざわつかせていた。

< 260 / 320 >

この作品をシェア

pagetop