王子様のしつけかた☆

＊prplogue＊

あたしは、高校生初めての夏休みを普通

に終えるつもりだった。


…普通に。



あたしは春、高校１年生になった。


部活は陸上部マネ、委員会は図書委員。


学校生活は友達もできたし、すっごく楽

しい。


本当に、高校生活をあたしは楽しんでい

た。


…とんでもないことになったのは、ほん

の２週間前のこと。


あたしの目の前に、とんでもない人が

現れた。



　　　　　　　　　＊



あたしは、夏休み最後の日、毎週月・木

曜日の図書室の管理当番が回ってきて、

その日は午後から学校の図書室にいた。


ちょうど、数週間前から行方不明になっ

ていた、「星の王子さま」の本を探して

いた。


学校の図書館はすっごく広くて、高い本

棚が何列も並んでいる。


あたしの身長は153cmだったから、

歩いていても誰も気がつかないと思う。


図書室の奥は人がいてもわかんないくら

いで、しかもすこし薄暗くて、ちょっと

怖かった。


すると、その薄暗いところから、蛍光灯

の光が漏れているのに、あたしは気がつ

いた。


たぶん勉強コーナーの机の光だ。


（…だれか、いるのかな？）


おそるおそる、近づいた。


（あれ？）


それは、陸上部の「一ノ瀬　健」だった

。しかも横を向いて寝ていた。


通称、「王子様」


その名の通り二重パッチリ、睫毛は長く

顔は最高のトップレベル。


しかも性格が、それはもう超がつくほど

のドSぶりだ。


「なんでここにいるの？一ノ瀬くん、そ

んなひとじゃ…ないよね？」


おもわずつぶやいた。


それにしても、本当に、本当にかっこい

い。イケメンすぎる。


（うわあ、睫毛長い…）


あたしのわるい癖。すぐに人を観察し

ちゃうところ。


よく耳を澄ますと、静かに寝息を

たてて寝ている…かわいい。


髪の毛もなんだかやわらかそうで、

触りたくなった。


（寝てるから…、いいよね）


一ノ瀬くんはワックスとかもあまりつけ

ていないのに、ふわっとトップがたっ

ていて、しかもそこら辺の女の子たちよ

り、もちろん自分よりつるつるで、やわ

らかい気がした。


なんだか、ドキッとした。