スノードーム
「俺、綾人は俺のこと好きなのかと思ってた」
図書室に響いた先輩の声。
確かに紡がれた言葉。
それは絶望という名の音に似ていた。
カラガラと私の心の中で何かが崩れていく。
何で。何でそんなこと言うの。
何で、貴方がそんなこと。
知ってたんですか?私が、先輩を好きだって。
この想いに気づいてたんですか?
知っていて優しくしたんですか?
知ってて、思わせ振りなことをしたの?
知ってて、あんなこと言ったの?
知ってて…
(知ってて…彼女をつくったの…?)
真っ暗になっていく目の前。
胸の痛みはジリジリと麻痺して。
痛みは怒りに変わっていく。