スノードーム




コンコン




「カンナ、いる?」




ぐずぐずと鼻を啜りながら枕に顔を埋めていると、聞こえてきたのは控えめなノックの音とヨシくんの声。


"…いる"と本当に小さな声で返事をすれば、ヨシくんは"入るぞ"一言断りをいれてから部屋に入ってきた。


そんなことを当たり前にするあたりお兄ちゃんに似てると思ったのは内緒。


入ってきたヨシくんの左手には私が教室に置いてきてしまったカバンがしっかりと持たれていた。




「ほら」


「…ありがと」




泣いた顔を隠すことなく体を起こしてカバンを受け取る。


すると




「目、腫れるぞ」




そう言って右手に持っていた柔らかな白いタオルを私の目元にあててくれた。




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