雪人
前方に投げ出されるようにして吹っ飛んだミューレは、浮いた体を空中で反転させて足を地面に付ける。五メートルを地面に足に力を入れて後ろへ引きずられるようにして衝撃の余波を受け流した。
膝を地面につけ、激痛が走る背中を空いた手で触った。さらに痛みが走りミューレは苦悶の表情を浮かべる。
いったい何が起こったのかわからず辺りを見ると、先程自分がいた場所にミフレが余裕の笑みを見せて立っていた。
「どこから……攻撃をした……んだ」
肺にもダメージがあったのか、息を詰まらせながら苦虫を噛み潰したような表情でミューレはミフレを見た。綺麗なブロンドの髪はほつれたりして乱れている。
「上だよ。落ちる速度を生かして隙のある背後に蹴を食らわしたんだ、効くだろ」
人差し指を上に向け、ミフレが笑顔を見せる。
「結構ダメージがあるだろ、降参するか?」
ミフレの表情が一転して真剣なそれへと変わる。
「するわけない……でしょ」
ミューレは痛みに顔を歪ませて、立ち上がる。
「もう、手加減しないわよ」
ミューレは黒い長袖の右腕の部分を引きちぎった。露になった細くしなやかな白い腕。
そして手に持つ鎌を地面に置き、破った部分の白い腕に反対の方の手を添えて口を開いた。
「戒めの楔に閉じ込められし、秘めたる力を解き放て、リリース」
瞬間、ミューレを中心に渦を巻きながら不思議な色の魔力が流れ始めだしたのだった。
ミューレの解き放たれた魔力は不思議な色をしていた。透明な黒とでも言えばしっくりくるような色で、この世界には誰も孕んでいない魔力と思う不思議な色をしていた。
魔力はミューレを中心に渦を巻きながら上空にくるくると線を描き上昇していく。
その様子を離れた所から片眉を下げて、訝しそうにミフレは見ていた。無意識に青いグラブにギュッと力が入る。
「こんな魔力を隠してたなんてな、驚きだな」
嬉しいのか気分が高まったような声でミフレは、ミューレに話し掛ける。
「これを出さずに勝つ予定だったけどね」
ダメージが徐々に和らいできたミューレは、息を詰まらせることなく返事をした。ミフレが視線を下げると、傍に置いていた魔誓具の鎌はいつのまにか消えている。
膝を地面につけ、激痛が走る背中を空いた手で触った。さらに痛みが走りミューレは苦悶の表情を浮かべる。
いったい何が起こったのかわからず辺りを見ると、先程自分がいた場所にミフレが余裕の笑みを見せて立っていた。
「どこから……攻撃をした……んだ」
肺にもダメージがあったのか、息を詰まらせながら苦虫を噛み潰したような表情でミューレはミフレを見た。綺麗なブロンドの髪はほつれたりして乱れている。
「上だよ。落ちる速度を生かして隙のある背後に蹴を食らわしたんだ、効くだろ」
人差し指を上に向け、ミフレが笑顔を見せる。
「結構ダメージがあるだろ、降参するか?」
ミフレの表情が一転して真剣なそれへと変わる。
「するわけない……でしょ」
ミューレは痛みに顔を歪ませて、立ち上がる。
「もう、手加減しないわよ」
ミューレは黒い長袖の右腕の部分を引きちぎった。露になった細くしなやかな白い腕。
そして手に持つ鎌を地面に置き、破った部分の白い腕に反対の方の手を添えて口を開いた。
「戒めの楔に閉じ込められし、秘めたる力を解き放て、リリース」
瞬間、ミューレを中心に渦を巻きながら不思議な色の魔力が流れ始めだしたのだった。
ミューレの解き放たれた魔力は不思議な色をしていた。透明な黒とでも言えばしっくりくるような色で、この世界には誰も孕んでいない魔力と思う不思議な色をしていた。
魔力はミューレを中心に渦を巻きながら上空にくるくると線を描き上昇していく。
その様子を離れた所から片眉を下げて、訝しそうにミフレは見ていた。無意識に青いグラブにギュッと力が入る。
「こんな魔力を隠してたなんてな、驚きだな」
嬉しいのか気分が高まったような声でミフレは、ミューレに話し掛ける。
「これを出さずに勝つ予定だったけどね」
ダメージが徐々に和らいできたミューレは、息を詰まらせることなく返事をした。ミフレが視線を下げると、傍に置いていた魔誓具の鎌はいつのまにか消えている。