雪人
視線の先には苦悶の表情に顔を歪ませるミフレだけなのに、有利なはずなのに、自分が恐怖を抱く意味を理解できていなかった。
いや、あるとすれば水色の髪をした少女に対してなのかもしれない。
抗ことのできない圧力をを浴びているミフレは、ミューレの困惑した表情やただならぬ雰囲気を、訝しそうに見つめる。
ミューレは、気持ちを落ち着かせるために胸に手を当て、一つ深い呼吸をした。
刹那、ミューレの両肩を水の矢が見ることさえ感じることさえ出来ずに一瞬で突き刺さり、貫いた。両肩からは血が滲むようにして、服や水の矢を血に染め上げる。
焼けるような激痛にミューレは顔を歪ませ、膝を地面についた。
ミューレはきょとんとした表情で何が起こったのか分かっていなかった。とにかく、のしかかる圧力が解けたことに一先ず安堵のため息を吐く。
「ミフレちゃん、大丈夫?」
スタッとミフレの近くに着地したエレミールが心配そうに声をかける。
「うへ? ああ、エミルちゃんか。今まで一体何処にいたんだ?」
変な重力を受けた影響のため、足取りが不安定なミフレは、よれよれな歩き方でエレミールに近寄る。
苦笑を湛えてそれをエレミールが見ている。
「私がいたのは、あそこよ」
顔を上に向けて、シャンデリアを指差す。
「気配を殺してチャンスを待ってたのよ」
「あんな所にいたのかー。どうりでホールのあちこちにいなかったわけが、納得したよ」
ミフレは乾いた笑みを零し、疲れたような表情で地面に腰を下ろした。地面に散乱する石がミフレに当たりコロコロと転がる。
それにしてもやり過ぎたかな、と辺りを見回して思う。片付けるのが大変だな。
「片付けるの大変だよね、これ」
どうやらエレミールもミフレと同じことを思っていたらしかった。お互いに顔を見合せ苦笑する。
「まあ、城を奪還したら許してもらえるだろう。それと、アタシ達の戦いは終わったしな」
そういって、ミフレはミューレを見やった。顔は俯いて見えないが、肩からはポタポタと血が地面に零れるようにして落ちている。小さな血の水溜まりが二つ出来ていた。
これだけの傷を負えば相手だって戦意が無くなっているだろうとミフレは思う。
だが、ミフレの思いとは裏腹にこれで終わらなかったのだった。
いや、あるとすれば水色の髪をした少女に対してなのかもしれない。
抗ことのできない圧力をを浴びているミフレは、ミューレの困惑した表情やただならぬ雰囲気を、訝しそうに見つめる。
ミューレは、気持ちを落ち着かせるために胸に手を当て、一つ深い呼吸をした。
刹那、ミューレの両肩を水の矢が見ることさえ感じることさえ出来ずに一瞬で突き刺さり、貫いた。両肩からは血が滲むようにして、服や水の矢を血に染め上げる。
焼けるような激痛にミューレは顔を歪ませ、膝を地面についた。
ミューレはきょとんとした表情で何が起こったのか分かっていなかった。とにかく、のしかかる圧力が解けたことに一先ず安堵のため息を吐く。
「ミフレちゃん、大丈夫?」
スタッとミフレの近くに着地したエレミールが心配そうに声をかける。
「うへ? ああ、エミルちゃんか。今まで一体何処にいたんだ?」
変な重力を受けた影響のため、足取りが不安定なミフレは、よれよれな歩き方でエレミールに近寄る。
苦笑を湛えてそれをエレミールが見ている。
「私がいたのは、あそこよ」
顔を上に向けて、シャンデリアを指差す。
「気配を殺してチャンスを待ってたのよ」
「あんな所にいたのかー。どうりでホールのあちこちにいなかったわけが、納得したよ」
ミフレは乾いた笑みを零し、疲れたような表情で地面に腰を下ろした。地面に散乱する石がミフレに当たりコロコロと転がる。
それにしてもやり過ぎたかな、と辺りを見回して思う。片付けるのが大変だな。
「片付けるの大変だよね、これ」
どうやらエレミールもミフレと同じことを思っていたらしかった。お互いに顔を見合せ苦笑する。
「まあ、城を奪還したら許してもらえるだろう。それと、アタシ達の戦いは終わったしな」
そういって、ミフレはミューレを見やった。顔は俯いて見えないが、肩からはポタポタと血が地面に零れるようにして落ちている。小さな血の水溜まりが二つ出来ていた。
これだけの傷を負えば相手だって戦意が無くなっているだろうとミフレは思う。
だが、ミフレの思いとは裏腹にこれで終わらなかったのだった。