雪人
レイドの傍で地面に俯せの状態で倒れているリゼルは何故倒れて気絶しているのかというと、時は遡り、白煙が晴れる前に遡る。
―――――――
強風が止み、闘技場には白煙が辺りを漂い舞台全体を包んでいた。 レイドは少しやりすぎたと思い、不可抗力だと勝手に自分で納得し、苦笑いを顔に浮かべ強風によってボサボサになった緑髪を掻きながら原因を作った相手を見ようとするが、白煙が辺りを漂い視界が悪く諦める。
「こりゃどうしようかね……――ん?」
レイドの視線の先から充満している白煙に人影が動くのが視界に入る。その人影は手に細長く先が尖ったものを持ちレイドへと素早く近づいて来る。そして人影が近づいたことによってレイドの肉眼でも見れる程になり、その人影がリゼルだとわかる。リゼルは口の端を釣り上げレイドの腹に向けて素早く突く。
レイドは別段驚くことがなく冷静に横に避け、槍を掴み引っ張る。引っ張られたリゼルは手を離そうとせず、逆に殴りかかろうとするが、それよりも速くレイドがリゼルに手刀を首にたたき込む躱すことが出来ず、リゼルはビクンっと一回痙攣してゆっくりと地面に吸い込まれるように倒れていく。それを哀れむような同情のような、そして悲痛な表情で見ているレイド。
白煙が辺りを埋め尽くし誰もその姿を見ることがなかった。
もし見ていたら、普段のレイドと余りにもかけ離れていることがわかる。レイドは屈み込み、地面に倒れて気絶しているレイドに小さく呟く。
「…闇に呑まれるな…心を強くしろ…これから辛いことがあるだろうが……自分自身と向き合い受け入れろ……そして強くなれ…」
レイドはリゼルの服の袖を捲り白い肌が姿を現すが、一ヶ所だけ赤黒い模様が描かれている。白い肌とは対照的で目立ち異様で、邪悪な印象を受ける。赤黒い模様は六芒星の形をしている。
レイドはそれに触れようとするが、見えない何かにバチッと弾かれ、それによって少し痺れた手を無感動に見る。顔は無表情だが目は憤怒の如く怒りを表している。
無表情から普段の腑抜けた様な表情になり、さっきまでの怒りのを宿す目付きが消える。
また六芒星の模様に触れる手前で、手を突き出し静かに紡ぐ。