今、恋してる
きらきら.
2年C組.
出席番号23番
石山 由香

わたしは今、恋してます



8時20分―
まだ人もまばらな校舎で
あたしが毎朝体育館に
足を運ぶ理由(わけ)。

たった一人ゴールに向かって
シュートを打ち続けるきみに
何度心を打たれただろう

長身茶髪、
一見、軽そうで遊んでそうで
はっきり言って印象は
よくなかった。

だけど。



――――

「石山さん、明日生活委員は
8時15分までに登校だから、
よろしくね」

「え、8時15分?!」

にこり、と愛想笑いを
浮かべるクラス委員長に
逆らえるわけもなく、
あたしは次の日、早めに
登校する事になった。


「ありえないー…」

はあ、とため息をつくあたしに
友達のサヤカがくすくす笑う。

「まあいいじゃん、
明日だけなんだしさ!」

大きな瞳が愛らしい。
あたしだってこれくらい
可愛かったら、もっと
人生変わっていただろうと思う。

ますます暗くなりながらも、
明日の為に、と早めに眠りについた。


それなのに。
何故寝坊するのだ。

神様はきっと意地悪だ。

小走りで学校へ向かい、
体育館を通り過ぎようとしたとき
中から、ダンッダンッと
ボールをつく音。

< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop