【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】

3.綾なす糸 - 神楽 -




4月。


桜の花びらが舞う頃。



今年も音大に通いながら、
引き続きインストラクターの
仕事をさせて貰えることになった。








「文香、
 今日のサロンコンサートどうする?」





いつもの日課にもなってる、
サロンコンサートの
受け持ち時間前。





空き教室の一室で、
二人で打ち合わせ。





「アンサンブルなんだけど、
 (遠き未来)の、
 3ページ目の3小節目。

 そこから私、今回こんなアレンジと
 レジストで行きたいと思うんだけど、
 神楽は大丈夫?」







言われるままに、
手書きで書きなぐってる楽譜を見つめて
文香のアレンジに対して、
私の方もすぐに答える。





サロンコンサートの時間は、
緊張するけど、
凄く自分自身が楽しめるから。




「OKっ。

 んじゃ、神楽今日も行きますか?」



サロンコンサート開始前。



空き教室の中で、
お互いの気合を入れて、
1階のサロンコンサート会場へと
エレベーターで降りた。






春休みが終わったとはいえ、
今日は日曜日。




目の前の商店街の人通りも、
家族連れや友達同士で
遊びに来てる人たちで
ごった返してた。





店内から外に向けて設置されている
メインスピーカーのスイッチをいれると、
文香は、エレクトーンの前へ。



私はグランドピアノの前に歩み寄ると、
そこでゆっくりと二人してお辞儀をした。




フロアーにいるお客さんたちの足が
立ち止まる。





お互いにアイコンタクトを交わして、
アンサンブルからいつものように始める。







いつものように、アンサンブルが終わると、
私だけのピアノソロ。





今日は……
リストの超絶技巧より二曲。


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