【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】


「あっ、勉強より
 充電したくなった。

 明日、休みだしそっち行ってもいい?」

「うん。
 待ってる、だけどちゃんとご両親には許可貰っておいてね」

「わかってるけど、
 俺、成人過ぎてるし、ガキ扱いすんなって」

「ごめんごめん。
 だけど……おじさんや、おばさんに嫌われたくないもの。
 
 ケジメは必要でしょ」




そう……恭也の両親に嫌われて、
信用を失って、反対されて……
結婚って言うゴールを見失いたくないもの。


だからこそ……
年上の彼女は、年上らしく
モラルを考えて失敗ないように動いていきたい。


石橋は叩きすぎるくらいに安全を確認して
歩いて行かないと……。




「わかってる。
 
 んじゃ、今から行くから。
 駅に着いたら、連絡するよ。

 少しお腹すいてるんだ。
 雄矢と勇生と美雪嬢と勉強してたからさ」

「美雪嬢って?」

「勇生の彼女。
 前にも話したよね。

 俺は神楽だけだから……。

 んじゃ、宜しく。
 電車来たから切るよ」


慌ただしく通話が切られて、
私は携帯を置くと、
ピアノの部屋からゆっくりと離れる。


キッチンに向かって、
時計を見つめる。


21時まわってる。

あんまり脂っこくすると、
胃にもたれちゃうかな?


でも恭也は若いから平気かな?




そんな風に思いながら、
冷蔵庫を覗き見る。


恭也が来るってわかってたら
食材も豊富にしておいたのに。


この時間じゃ、
一番近くの店は閉店してるし。



そう思いながら、この間のセールの時に
奮発した冷凍庫に眠っている牛肉の塊を見つめる。



圧力鍋を使えば調理時間も短縮。

アツアツの
ビーフシチューが作れる?


フランスパンもあるから、
パンをつけてもいいし……
ご飯が欲しかったら、
炊き立てを冷凍してるのもある。


野菜サラダは、
今日、買ってきたのもあるからイケそうかな。





キッチンで一人、ブツブツと呟きながら
料理の準備をしていく。



必殺圧力鍋で、
取り掛かりから30分もすると
何とか、恭也のご飯が整えられた。
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