砂のオベリスク~第七大陸紀行~
さらに給水を受けること六回。
砂の色が変わった。しまい忘れたバターのようだったのが、カワセミの羽のようになり、最後には地平線の空のわずかな部分を引き延ばしたようになった。
一面が青とも白ともつかない薄い色で塗り潰されてしまった。
砂丘もまばらになり、ついには起伏が無くなった。
風紋も消えていた。
砂漠にいるというのに、浅瀬を歩いているような気分だ。
「好きな景色だわ。どこまでも続く静かな浅瀬で、そぞろ歩きをしたり、服の裾を気にせずに走ってみたいと思ってたの」
「こんなときに、ずいぶんと余裕だな。
俺は不安でしかたないよ。あの小惑星みたいな爺さんといい、そのあとに起こった出来事といい、まるで分からないことだらけさ。
正直なところ、今も君の後ろについているだけなんだ」
「あの人たちも、そうやってあのお爺さんについて行ったのよ。
気が抜けてしまったのね。
今まで苦労して、自分の力であそこまでやってきたのに、最後に全部を任せてしまった。
あのお爺さん……自称『案内者』に」